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村上春樹「国境の南、太陽の西」 30代以降の人に読んで欲しい本。

      2017/05/26


村上春樹氏の本の中では一見インパクトにかけるこの本。村上春樹氏の作品だと「ねじまき鳥クロニクル」や「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」、「海辺のカフカ」、「ノルウェイの森」などが有名ですよね。

 

ただ数年ぶりに読み返すと味があるというのか、夢中になって読んでしまいました。

 

ある種癖になるするめの様な小説。

 

村上春樹氏もこの小説が当初芳しい売り上げでなかった時に「5年後、10年後に再度読んで欲しい」と言っていたそうですが、まさに年を経るごとに魅力が分かってくる本です。

 

内容としては表面上は本気の不倫の話。

 

ただテーマとしては不倫では無く人間誰しもが持っているであろう「欠落感」「喪失感」。

 

人間普遍の感情を怖いくらいに描きだしている本だと思います。

 

以下ネタバレです。

 

主人公のハジメは2軒のジャズバーの経営者。社会的には成功者の中にカテゴライズされ、村上春樹氏の主人公の中では珍しいタイプです。

 

ただ子供の頃から心のどこかに欠落感を伴って生きています。唯一小学校の同級性だった島本さんがそれを埋めてくれる存在だったのですが、中学校にすすんだ後は疎遠に。

 

普通の学生生活を経て出版社で働く過程でいくつかの女性達との出会いがあるのですが、喪失感を一見埋めてくれそうである「吸引力」を感じた女性と浮気をしてしまい、高校時代の彼女を深く傷つけてしまうなど、喪失感を紛らわすためには悪をなしえる存在であることを自覚したりしていきます。

 

その後強い「吸引力」を感じた有紀子という妻と出会い、結婚。実業家である有紀子の父の会社のビルで何か事業をやってみないか、と言われジャズバーを開くことになり、成功。娘2人にも囲まれた幸せな結婚生活で一見それは埋まったかに見えました。

 

しかし、かつて欠落感を埋めてくれた唯一の存在である、小学校の同級性、島本さんとの再会により状況は一変します。

 

かつて一度失ってしまった本当に欲しかったものを目の当たりにした主人公は、すべてを失ってもそれを求める選択をし、普通に考えれば満ち足りているであろう生活を捨てるところまで突き進んでいきます。

 

結果的に島本さんと結ばれた翌日、島本さんが消えてしまうのですが・・

 

客観的にみればこのハジメという主人公はろくでもない男、いわばカスです。

 

自分の喪失感、欠落感を埋めてくれるもの、埋めてくれそうであるものを目の当たりにすると自分を愛してくれる人間を傷つける行動をしてしまいます。

 

ただ何故か憎めないんですよね。普通に考えれば嫌悪感を抱くはずなのに。

 

きっとそれはハジメの苦悩や葛藤が凄まじいくらいに伝わってくるからなのだと思います。

 

登場人物の苦悩や葛藤をそこまで読者に感じさせる村上春樹氏の筆力はやはり圧倒的だと感じました。

 

また欠落感、喪失感といった主人公を苦しめているテーマが多くの人間を苦しめている普遍的なテーマというのもあって主人公に感情移入してしまうところもあるなぁと感じています。

 

僕もまた欠落感、喪失感を抱きながら生きています。女性は関係ないですがそれは不動産の仕事です。

 

今は不動産業界から離れているのですが、不動産業界から離れたことによって、なくすべきでは無かった何か大事なものを失ってしまったんではないか、といった感情を抱いて生きています。やたら過去の日々が輝いて感じたりとか普通にありますね。まあ失ったのが仕事であればまた就職すれば良いのでたいしたことは無いのですが。

 

人によってはそれが恋愛だったり学生時代の部活だったり僕みたいに仕事だったりするんでしょうね。

 

欠落感、喪失感の対象が女性でなくても何かしらの欠落感、喪失感を抱きながら生きている人にとってはグサッと刺さる小説だと思います。

 

興味ある方はぜひ。

 

 

 




 

 


 - 小説

 

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